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ネットかけに想う 〜生きもの語り〜

舞岡公園の「舞の里だより」210号(10月中旬発行)の
「生きもの語り 第33回」を書きました。 
「ゆいまーる」で今回実施した、ネットかけについての思いです。

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第33回 「ネットかけに想う 〜秋津島 瑞穂の国〜の巻」

〜草虫暦〜(二十四節気・七十二候)
霜降 霜がはじめて降り始め、紅葉や蔦の葉が黄色く色づく頃


稲の小さな花が咲き、緑の穂が弧を描く9月のはじめ、ネットかけの作業をします。
ネットかけは、籾のなかが白いミルク(固まっていないでんぷん。甘くておいしい)の状態から黄金色に実る頃までの間を、スズメから籾を守るために行います。
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4月のおわり頃から、田んぼでみられるシオカラトンボ。
越冬幼虫が羽化し、成虫が田んぼに卵を産み、ヤゴが育ちます。
アキアカネ、ウスバキトンボ…トンボの多くは、田んぼで暮らしているのです。
9月の頃は、シオカラトンボのオスとメスのおつながりをよくみかけ、
田んぼに卵を生むために、稲穂の上を飛び回っています。
オスは縄張りを守るために大忙しです。

トンボの成虫の活動期と時を同じくして、ネットかけがあります。
舞岡公園で使用しているネットは、
トンボなどが抜けられる目の大きさのものを使用しています。
が、すっと上手に抜けてゆくトンボもいれば、
しばしばネットを出ようとして羽を傷めているトンボもいます。
ギンヤンマのような大きいトンボにとっては、より難儀なことになります。
そんな姿をみるにつけ、なんとかできないものかと思っていて、
今年のネットかけは、裾を止めないで上げておく実験をさせてもらいました。
田んぼの様子をみていると面白いことがみえてきました。
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30分弱、田んぼをみているだけでも、
シオカラトンボは、数え50頭程、田んぼのなかを行き来していました。
(田んぼ4辺のうち2辺で観察)。
トンボは稲穂の上を飛びまわり、田んぼの角から田んぼの外に抜けるものが多くいました。
ネットの裾が稲穂の高さにあると、裾を上げていることに気づかないトンボが現れ、
それはなぜだかメスに多くみられました。
そこで田んぼの角の部分のネットを他よりも(稲穂よりも)高めに裾を上げてみると、
ほとんどのトンボがスムーズに田んぼへの出入りをしていました。
高さや、場所がポイントのようです。
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ネットかけ肝心の、スズメに対してはどうだったかというと、
スズメの食跡とみられるものもありましたが、ネットの裾を止めた時とさほど変わらない状態でした。
これは今年の結果なので、この方法が良かったのかどうかはまだわかりません。
稲作と生きもの。いいバランスは何処にあるでしょう。
2年3年と続けて、様子をみれたらと思います。
その昔、日本は「秋津島 瑞穂の国」といいました(秋津は赤トンボのこと)。
トンボがスイスイと田んぼを行き交うのをみながら、とても和やかな気持ちになれた今年の秋のはじまりでした。
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by yuima-ru_tanbo | 2012-10-20 18:29 | 「ゆいまーる」にておもうこと