追記
「鳥類住血吸虫」と正式に判明しました。
(→日本住血吸虫ではない)
ヒメモノアラガイが中間宿主による、Trichobilharzia属の住血吸虫と判明。
Trichobilharzia属とわかったことで、宿主もカモ類とわかるのだそう。
(属別に宿主の鳥が異なる)
今回の調査では、=「カルガモ」ということになります。
※よくわかる、ドイツの寄生虫研究(大学サイト?)さんの図解
ああ、カルガモさん、
田んぼでスイスイしている時に、セルカリアからの危険があったなんて...
教えてあげたいです...
資料リンク
国立感染症研究所感染症情報センター 日本における鳥類住血吸虫によるセルカリア性皮膚炎
国立感染症研究所感染症情報センター 日本における住血吸虫性皮膚炎の分布と宿主
ーーーーーーーーーーーー
現在、原因究明中のセルカリア。
さあ、セルカリアってどんな生きものでしょうか?
みたことがありますか?
いい機会なので、お勉強しましょう!
「セルカリア」は生きものの名前ではないんです。
寄生虫の一種で「吸虫(きゅうちゅう)」のなかの、
生活環における第1ステージの状態を「セルカリア」というのです。
今、舞岡で呼んでいるものは、
「住血吸虫」(生きもの)の「セルカリア」(状態)ということになります。
生活環
卵→ミラシジウム幼生→スポロシスト幼生→セルカリア(幼虫)→成虫
成虫になると肉眼でも確認できる大きさ(1~2cm)なので、
私はなんとなく見たことあるかも〜?という感じです。
セルカリアの状態では、非常に小さいのでわかりません。(0.2mm)
卵はどこから来るのかというと、
冬場、田んぼにやって来る鳥たちの落とし物(フン)のなかにあります。
寄生虫である「住血吸虫」の最終宿主は、哺乳類なのです。
田んぼで考えられるのは、ムクドリ、ハシブトガラス、ハクセキレイなどです。
田んぼに落とされたフンのなかの卵が、田んぼに水が入ると水中で孵化し、
次の宿主を探す。その中間宿主となるのが、貝類です。
田んぼでは、モノアラガイ、ヒメモノアラガイ、マルタニシなどにあたります。
そしてそのあとに、貝から遊出して、最終宿主を探す。
水面に浮遊しているセルカリアがヒトの皮膚に触れると皮膚炎を起こす
ということになります。
(現在舞岡公園では、どの宿主で、
なんという住血吸虫なのかを遺伝子レベル検査中。)
日本では、ヒトの血管内に寄生して起こる「日本住血吸虫症」という疾患が、
田んぼで、ヒトが最終宿主にならないように皮膚に触れないようにしたり、
中間宿主とされたミヤイリガイの撲滅(感染が多いとされた地域)を
徹底的に行ったことで、1978年以降は、絶滅したといわれています。
舞岡では、私自身はセルカリアによる炎症になったことはありませんが、
他の田んぼでは、おじいたちは長ズボンをはくなど完全防備で、
「虫に刺されるぞ」といわれたりします。
昔から「水田皮膚炎」ともよばれているもので、
セルカリアは長年、「田んぼの生きもの」なのです。
知られざる寄生虫の世界。小さな生きものたち。
虫さされの出る生きものは、セルカリアに限りません。
田んぼの生きものと、上手に付き合うことも大切です。
今年は、なぜだか、症状(皮膚炎)が出る人が多いとのこと。
セルカリアが増えた、のでしょうか?
対策は、水面に皮膚が触れないようにすること。
具体的には、厚手のハイソックスをはくことです。
ゆいまる田は水の流れをよくすることでも対応したいなと思っています。
ーーーーーーーー
余談ですが、セルカリアより、
私は、人の作り出してしまった目にみえない放射能の方がよっぽど怖いです。